Sabotage。。。。:『耳朶』 短編小説
2004-09-26T06:01:56+09:00
deracine_anjo
『名も無き 雑草。・・そして 此処に おります♪』
Excite Blog
『頬杖をついて。。。』
http://deracineay.exblog.jp/1084754/
2004-09-26T06:01:56+09:00
2004-09-26T06:01:56+09:00
2004-09-26T06:01:56+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
通り過ぎる 人達を 喫茶店の窓越しに
何気に 眺めてる。。。。
二人の世界しか 見えない 恋人達
恋人?友達? 待ち合わせに 遅れそう?な人
足早に 何かに急かされる様に 歩き去る人
携帯を 握りしめ誰かに アクセスしている人
俯き加減に 少し 肩を落として 歩く人
この世界が 怖かった 私 が
今 独りで その流れの 外で その風景を
眺めてる。。。。
独りで お茶を 楽しみながら。。。。なんて
考えも しなかった 私が。。。
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『耳朶 短編小説 『最終章 <始まり。。。。>』 』
http://deracineay.exblog.jp/767411/
2004-07-29T16:21:42+09:00
2004-07-29T16:21:42+09:00
2004-07-29T16:21:42+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
引越し当日は これからを 『祝福・応援』 してくれている様な
気持ちのいい 初夏を思わせる快晴の休日だった。
都心から 少しは離れた 緑豊かな郊外に 建売だが
これから生まれてくる子供とリュウと三人で過ごすには
充分すぎる家を 見つけられたのは 幸運と言うべきだと思う。
あの日以来 夫とは 結婚して以来 もしかすると
初めてではないかと思う位 多くの会話を交わす時間を
お互い努力して作った。
今まで 仕事に忙殺され 余りにも お互いの事を知らずに
生活をしてきた事か。。。『後悔』と『哀しみ』に 時として
感情が流されそうになる自分を 懸命に抑えながら。。。。
それは 夫も 同じだった。
夫は正直に 遼子さんとの事を 話してくれた。
彼女は 『DV(ドメスティック・バイオレンス)』 が漸く立証され
夫と離婚が成立し 今の仕事に就いたこと。
夫自身は 厳格な父に育てられ 実母が病死後に
再婚した義母に 性的関係を強いられて育ったという 『トラウマ』の所為で
女性を 『愛せなくなった事』事実を
時折 哀しげに。。。そして苦しげに 出来る限り淡々と 語ってくれた。
今 現在も 互いに 『愛し合う関係ではない事』も。。。。
私も あの夜 街で二人が仲睦まじく歩いていく姿を
見た日からの出来事を
『男の名前』以外は全て 話した。
そして。。。。最後に
『離婚』という言葉を 私から 口にした。
最終的に 夫の条件を飲む形で 私達は 互いに新しい生活を
始める事にした。
夫の条件は 子供が生まれるまで 離婚しないという事。
それは。。。『非嫡出子』にだけは させないと言うのが 絶対条件だったのである。
随分 話し合い 断り続けたが
最終的に
『君の人生は 君のものだが 生まれてくる子供にも その子の 権利があるんだ。』
珍しく キツイ言葉で私を 真正面から見る真剣な彼のココロに
感謝をして 受け入れる事にした。
互いに 仕事を持っていた為 夫婦別姓で生活してきたので
私自身の仕事に関しても これといった支障も無く
今日の日を 迎えた。
家が決まり 引越しの当日まで 私達は 友人の様に
暮らした。。。
それは とても 穏やかで 優しい時間だった。
少しづつ目立ってきた身体の私を いつも そっと気遣い。。。
微笑みを絶やさず。。。。
『お荷物は これで 全てですか?』
運送会社の人に 声を掛けられ 振り向いた私は 微笑みながら
『ええ。。。。それで 全てです。宜しく 御願いします。』 と答えながら
夫を 見上げた。
『僕は 子供の父親だからね。何かあったら どんな事でも直ぐに
連絡して来るんだよ。。。。分かったね!!家まで僕が運転していこうか?』
そっと 肩に回した手に 微かだが力が籠められたのを感じながら
『ありがとう。大丈夫だから。。。心配性ね。』
微笑み返した時。。。。
夫が ふと 眩しそうな顔をして。。。。
『耳朶に触れる癖 直っていないんだね。』。。。。と
微笑みながら そう 呟いた。。。。。
( 完 )
『耳朶 短編小説 『最終章 <始まり。。。。>』 』
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
拙い稚拙な文章に お付き合い頂きまして ありがとうございました。
これからも 又 宜しく お付き合い頂けたらと
ココロより 思っています。
敬具
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『耳朶 (9) 短編小説 『真夏の夜の夢』 』
http://deracineay.exblog.jp/758305/
2004-07-28T05:24:42+09:00
2004-07-28T05:24:42+09:00
2004-07-28T05:24:42+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
ある日突然に 季節が変わったような気がする位
一段と多忙な日々を送り 考える余裕を持たない様に 何処かで意図的に送る日々。
今日も 熱い一日だった。。。。
(クライアント)との交渉で 何とか 先の目処が立ち
部下と共にビルを一歩 外に出た途端
私は 自分の意識が遠のくのを 感じた。
部下の声と共に 何処かで
『救急車、救急車を誰か 呼んでください!!』
。。。。それが 最後に 聴いた声だった。
誰かが 私を呼んでいる。。。
夫でもなく 両親や友人、知人でもない。。。。
穏やかな 包み込むような声で私を 誰かが 呼んでいる。。。。
ボンヤリとした意識と視界の中に 徐々に鮮明に映し出されたのは
苦渋と哀しみと 愛情と憐憫に満ちた
夫の姿だった。。。。
『僕が 判る?』
そう言いながら 私を覗き込む彼に 少しづつ焦点を合わせながら
『ここは どこ?私 どうしたの?あぁ。。。ここは病院なのね。。。』
『私 どうしたの。。。。?そう。。。打ち合わせの後。。。。。』
そっと 私の手を握り締めて 彼は
『ああ。。。軽い貧血を起したんだよ。部下の方が 受け止めてくれたから
頭を打ったりしてないし。。。何も 心配は要らないよ。
ただ。。。。』
苦しそうに言葉を 止めてしまった夫の代わりに
『私 妊娠しているんじゃないの?』
『何ヶ月?』
『子供は 大丈夫なの?』
一気に 言葉を吐き出す事で お互いが助かると思った。
『うん。。。もうすぐ 4ヶ月に入るそうだよ。子供は 大丈夫。
元気に育っているって。。。』
そう呟く夫を 私は 幼子を抱きしめる様に
この腕で 抱きしめてあげることが出来なかった哀しみに
一瞬 ココロが 一杯になった。
しかし 私の口から出た言葉は
『御願い。私 家に帰りたいの。ドクターに御願いしてきてくださる?』
『今夜は 一晩 ここにと仰っていたけれど 名医が側に居るんだから
大丈夫だよね。御願いしてくるよ。』
そう 少し冗談を言いながら 出て行く姿をみて
何かが終わり 何かが始まった。。。。
耳朶を触れている自分に気が付き ふと。。。。
闇に包まれた外の世界に 目を向けた。
『耳朶 (9) 短編小説 『真夏の夜の夢』 』
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『耳朶 (8) 短編小説 『憐憫』 』
http://deracineay.exblog.jp/745127/
2004-07-26T10:54:42+09:00
2004-07-26T11:08:39+09:00
2004-07-26T10:54:42+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
バブルが弾けた今でも (接待)は付きもの。。。。
『戦場』と言っても過言でない世界では 男も女もない。
必然的に いつの間にか 私も 何度か苦い思いをしながら
少しづつ お酒にも 強くなり 自分をコントロールする事が
出来るようになった。
しかし 今夜は 正直 自信はなかった。
何杯か カクテルを頼んだが
結局 ココロと同じ様に 絡み付くような不快感に
ブランデーを注文した時だった。
その男は さりげなく 私のテーブル側に佇み
『宜しければ ご一緒させて頂いても 構いませんか?
お独りが 宜しければ 退散しますが。。。。』
振り向いた私の目に映った男は
一目で ある程度の地位にいる人間だと 見て取れた。
着こなされたブランドのスーツに包まれた 柔らかい雰囲気の中に
幾多の荒波を潜り抜けてきたであろう 厳しさが感じられた。
一瞬躊躇ったが 私の口から出た言葉は
『構いませんよ。』。。。。予感がした。
『それでは お言葉に甘えて。。。。』
その仕草すら 全てが完璧に近いもので
待ち合わせ時間に 遅れてきた人間のような自然さだった。
『申し送れました。。。私は。。。』と名刺入れから出された名刺に
書かれていた文字を一瞥して。。。。やはり。。。と 思った。
しかし 今の私には 彼が 何者だろうと どうでもよかった。
私は 名のらず 名刺入れに その名詞を収めた。
シャワーを浴び 化粧を一通り直して バスルームから出てきた時、
彼は ガウンを羽織り 夜景を見つめていた。
もう。。。随分 車も 少なくなったようだ。
『じゃあ 私はこれで。。。。』
そう言い掛けた時、ゆっくりと彼は振り向きながら
『僕は この部屋を 住居代わりに使っている。
君とは 又 会いたい。 僕の個人用携帯番号だから。。。。』
そう言いながら 私に メモ用紙を 手に握らせ。。。
ふと。。。。微笑んで
『君は 左の耳朶に触れるのが 癖なんだね。』
と 包み込むように私を抱きしめ ドアまで 付き添って送り出してくれた。
タクシーで自宅前まで乗りつけ 見上げた夫の部屋の電気は
薄ボンヤリと明かりが 漏れていた。。。。
(帰って来ているのね。。。。)そう呟いた言葉が
自分でも 冷たい言葉になって出てきた事に
もう 何かが終わり 何かが始まったんだと。。。感じた。
今度は 震える事無く 鍵穴に鍵を差し込んだ。
玄関では リュウが 待っていた。。。。
『耳朶 (8) 短編小説 『憐憫』 』
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『耳朶 (7) 短編小説 『出会い』 』
http://deracineay.exblog.jp/738401/
2004-07-25T09:15:48+09:00
2004-07-27T02:11:52+09:00
2004-07-25T09:15:48+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
身悶えする様に スルリと リュウが私の胸から 離れた時には
流しつくしたように 涙も 枯れ果てていた。
『リュウ ごめんね。お腹が 空いてるのよね。すぐ 用意するね。』
そう言いながら いつも 違和感を感じていたキッチンへと向かった。
一瞬 躊躇したけれど 思い直し リュウの食事の用意に
取り掛かった。
頭の中では 今しがた見た残像が 目に焼きついたままだったが
それを振り払うように リュウに話しかけながら
(これから どうすればいいのだろう。)
堂々巡りの様に 私の頭の中は 同じ言葉で 一杯になっていた。
スペシャルメニューを食べ終わったリュウは 満足げに
『ニャン』と一声かけて お気に入りのソファーで 毛づくろいを始めた。
私は 後片付けをしたその足で 洗面所に行き
鏡の前に 立って 何度も何度も 涙の後を消すように
顔を洗い。。。熱いシャワーを浴びた。
青ざめた顔に 今一度 念入りに化粧を施し
クローゼットの中から 最近購入したばかりの、
ブランドのスーツに 着替え始めた。
夫は この分だと まだ 当分 帰宅しないであろう。
(私は これから 何処に行こうとしているんだろう。。。。)
何一つ 答えは出なかったが バックをとり
スヤスヤと眠りこけてるリュウの頭を そっと撫でて
夜の街へと。。。飛び出した。
少し歩いた所でタクシーを捕まえる事が出来たので
考えた挙句 某ホテルの名前を告げた。
偶に 仕事で使う事もある 落ち着いたラウンジでなら
気分も 少しは 落ち着くだろう。
(混んでいなければ いいのだが。。。。)
女性が独りで お酒を飲んでいても 不自然ではない
格式のあるホテルだけあって
支配人は 心遣いも 一流。。。個人としてやってきた私を
さりげなく 静かな 夜景の見えるテーブルへと
案内してくれた。。。。
(ドライマティー二)とカルパッチョとチーズを頼み
程よい柔らかさのソファーに身体を 深く沈め。。。
メンソールの煙草に 灯を付けた。
そして。。。。。その男と 巡りあったのである。
『耳朶 (7) 短編小説 『出会い』 』]]>
『耳朶 (6) 短編小説 『街角』。。。』
http://deracineay.exblog.jp/733234/
2004-07-24T13:32:19+09:00
2004-07-27T02:18:04+09:00
2004-07-24T13:32:19+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
その日は 予定していた(クライアント)との打ち合わせが
急遽キャンセルになり
私は 社に戻らず 直帰することにした。
偶には 手料理の一つでも。。。と思い立ち 夫の病院に電話を入れたが
まだ 診療中との事で 伝言だけ頼んで
私は デパートの地下食料品売り場へと 急いだ。
両手に 一抱えの食材を買い込み 外に出でた時には
もう 夜の匂いが し始めていた。
『あっ!!ワインが必要ね!』
1人そう呟き 行きつけの『リカーショップ』に向かい始めた瞬間
私の周りから 一瞬にして 色が失われた。。。唯 一点を残して。。。。
数メートル先を 歩いているカップルは紛れも無く
夫と遼子さん。。。。まるで 仲睦まじい夫婦の様に 寄り添い
語り合い 時に 微笑み合い。。。。
瞬間的に私は踵を返して その場から逃げるように立ち去ったが
その時の記憶は 殆んど何も残っていない。
買い求めた食材も タクシーの中に置き忘れたのだろう。
何一つ 私の手には なかった。
今まで 自分の家だと思っていた家の玄関に立ち
鞄から鍵を出し差し込もうとするが 手が震えて
上手く開ける事が出来ない。
その瞬間 微かにドアの向こうから リュウの声が聴こえた。
『私を 必要としている 血の通ったものが待っている。』
。。。そう思った瞬間 震えは止まり 「カチャリ」と鈍い音と共に
鍵が差し込まれ ゆっくりと ドアを開けた。
『お帰りなさい』。。とでも言うように リュウが足元に擦り寄ってきた瞬間
おもむろに抱き上げ。。。。
私は 声も出せず 唯 止め処も無く流れ落ちる涙を
リュウの身体に 滴り落としていた。。。。。
まるで リュウが 私の哀しみを 吸い取ってくれるかのように
いつまでも。。。。
『耳朶 (6) 短編小説 『街角』。。』
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『耳朶 (5) 短編小説 『結婚』 』
http://deracineay.exblog.jp/729488/
2004-07-23T22:47:46+09:00
2004-07-27T02:20:27+09:00
2004-07-23T22:47:46+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
何故 あの時 彼のプロポーズを 『OK』 してしまったのか。。。。
今となっても 私自身 良く判らない。
仕事も 順調過ぎるほどだったし 女性として 『総合管理職』という地位を確保し
徐々にだが 他の男性社員とも
仕事上では スムーズに 働ける環境が
漸く出来つつあった矢先
彼から 突然 プロポーズを受け
このまま 仕事を理解して 続けさせてくれるという言葉と
『子供』に関しても 『僕達だけで いいじゃないか。。。』と言う言葉に
酔っていた 感は 否定できない。
でも。。。交際を始めてからも 時折 何か知れない不安感を感じていた。
言葉に出して 確かめる事が 怖かったのだ。
しかし。。
それは。。。。新婚旅行のホテルで 漸く 理解できた。
彼は。。。。。『女を愛せない人だった』。。。のだ。
私と 付き合い 結婚する事で 変えられると 彼自身
最後の願いを 私に託したのだが。。。。やはり 無理だったのだ。
端正な顔をした彼が 苦渋に満ちた面持ちで
子供の頃から 今までの事を 始めて 私に話す横顔は
ある意味で 変な言い方だが
美しく 壊れそうな 硝子細工の様だった。
彼は
『君の経歴に 傷を付けたくない。。。。
出来れば この紙に サインして欲しい。
出来る限りの事は 一緒に 乗り越えられるよう 僕は 努力するつもりだ。
今以上に 君のよきパートナーとして 君を 守るつもりだ。』
そう言って テーブルの上に 『婚姻届』を 置いた。
一瞬の躊躇もなく 私は 渡された彼愛用の万年筆を受け取り
左手で耳朶に触れながら サイン を した。。。。
そして 不自然である筈の結婚生活は
妙に 居心地の良い 結婚生活 に変貌していった。
『耳朶 (5)短編小説 『結婚』 』
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『耳朶 (4) 短編小説』。。。。 『過去』
http://deracineay.exblog.jp/723406/
2004-07-23T00:47:39+09:00
2004-07-27T03:09:47+09:00
2004-07-23T00:47:39+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
某有名私大を 2年で中退。
周りの驚きを 切り捨てて 単身『オックスフォード大学』に入学。
いわゆる。。。(優秀な成績)で 無事 卒業。
そのまま あちらの企業に就職するつもりでいたが、
母が心臓の 手術を 受けなければ成らない事と重なり
急遽 日本に戻ってきたのは もう。。。。。。何年になるのだろう。
結局 中堅会社に 就職し 仕事が面白くなった頃、
『ヘッド・ハンティグ』で 今の会社に 引き抜かれた。
当時は 今の様に 『バイリンガル』だの『帰国子女』等と
もてはやされる時代で それなりに 風当たりは相当なものだった。
特に 男性からの嫌がらせに似た 拒絶は
その間 私自身の 仕事に 差し障るほどだった。
それでも 仕事の楽しさをバネに日々を過ごしていた頃
夫と 知り合った。
珍しく体調を崩し 空けられない会議の予定が入っている為、
目に付いて飛び込んだ病院のドクターだったのである。
端正な顔に、眼鏡の奥の冷淡とも言える瞳で 彼は 一言
『一週間 海外旅行でもしてくれば 直りますよ。
今日は 取りあえず 点滴とクスリは 出しますけれど。。。。』
一瞬 頭の中で 一気に血が 逆流するのが 判った。
そんな 出会いをした私達が 結婚するなんて
人生 何が 有るのか。。。。やはり 『神のみぞ知る』。。。ね。
洗面所の鏡に写った 私の顔は
青ざめ。。。。それを 心配するように リュウが
『みゃぁ~~~』と 一言 声を掛けてくれた。
『耳朶 (4) 短編小説 『過去』
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『耳朶 3 短編小説 』。。。 『別れの予感』より
http://deracineay.exblog.jp/716785/
2004-07-22T03:24:43+09:00
2004-07-27T03:20:27+09:00
2004-07-22T03:24:43+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
一瞬だが 人の家のキッチンに入り混んだような 錯覚に
軽い目眩を 覚えた。
決して 料理を作る事が 嫌いな訳でも 苦手な訳でもない。。。
強いて言えば 男性以上の仕事をする事の代償が
他人任せの キッチンに 成ってしまった。。。だけの事。。。
私は 自分に 言い訳をする。
遼子さんを 気に入ったのは 仕事の出来ばえが完璧に近い事と
他人の余計な事に首を突っ込まない。。。。という 『プライド』を持っている
そんな人だったから 無理を言って 5日間 来て貰う事にした。
しかし それが。。。。間違いだったのかも しれないと
最近 思うようになった。
レンジ台には 『ポトフ』の鍋が いつでも温めて下さいとでも言うように
待っていたし
冷蔵庫の中には 前菜の『カナッペ』用のサーモンやキャビアが
綺麗に 盛り付けられていた。
しかし それは 独りで食べられる量ではなかった。
彼女の 無言の 『抗議』に他ならない。
(クスリッ)
。。。。と笑った瞬間。。。私は 磨き上げられた洗面所に駆け込んでいた。
もう。。。。。認めなければ いけない時期なんだろう。
そして 結論を出さなければ成らない 時期に来ているのだろう。。。。
少し 青ざめた顔が 鏡に映り 私に そう。。。呟いていた。
『耳朶 (3) 短編小説 『別れの予感』
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『耳朶 2 短編小説』。。。 『帰宅』 より
http://deracineay.exblog.jp/708569/
2004-07-21T03:44:22+09:00
2004-07-27T03:16:48+09:00
2004-07-21T03:44:22+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
忙しなく動く ワイパーを見つめながら ココロは
彷徨い続けていた。。。。
今しがた 別れた彼の事を 考えていると言うよりは
何度も繰り返してきた (自分のココロとの会話)である。
『お客さん ここで 宜しいですか?』
ドライバーの声に 我に返った私は 慌てて 財布を取り出し
タクシーから 逃げる様に 自宅への道を
雨に濡れながら 足早に 向かっていた。
すっぽりと 雨を含んだ身体に ホンの少し 妙な安堵感を感じた頃
私は 玄関先に 佇んでいた。
鍵を 差し込む瞬間 キリリ と 私のココロが
何かを感じたが 次の瞬間 頭を振って 苦笑い。。。
思い切りよく ドアを 開けた。
週に5日 来て貰っている彼女が いつもの様に
リビングは 私が気に入って購入した アールデコのライトで
暖かさを 醸し出し その中で
寝ぼけ眼の リュウが 一言
『みゃぁ~~』 と鳴いて 暖かい身体を 摺り寄せてきた。
『ごめんね。。。遅くなっちゃって。ご機嫌は如何??』
濡れて重くなった 洋服を 剥ぎ取るようにしながら、
素肌に ガウンを 羽織り。。。
リュウのぬくもりを感じながら 素足のまま
キッチンへと 向かった。
急に 空腹感を感じたからだ。
『リュウ。。。一緒に お食事 しましょうか。。。。』
案の定 主人は まだ 帰宅していない。
気が付くと 左手で
耳朶に 触れていた。。。。
『耳朶 (2) 短編小説 (帰宅より)』
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宜しければ。。。。お付き合い 下さい。
http://deracineay.exblog.jp/700252/
2004-07-20T01:57:39+09:00
2004-07-20T11:16:41+09:00
2004-07-20T01:57:39+09:00
deracine_anjo
『耳朶』 短編小説
『耳朶』 (その1)
もう。。一時間近くに成るだろうか。
こうして 彼と 気まずい時間を 過ごしているのは。
繰り返される言葉は もう 聞き飽きていた。
心の中で (早く 帰りたいと 思っていた。家で1人待つ リュウ の事が気がかり。。。
お腹を空かせて 待っているだろう。。。)
おもむろに 煙草をもみ消した彼が 口を開いた。
『何度も言うように 僕は 君と別れるつもりはないよ。
君は もう 僕との関係に 飽きたという事なの?』
『黙っていないで ハッキリ言ってくれよ。
なんで 久し振りに こうして 逢えたと言うのに
君が そんなに 押し黙ったままでは 何を考えているのか
僕には 伝わらないよ。』
そう。。。。お互いに 仕事が忙しく 逢ったのは 2ヶ月振り。。。。
彼は ニューヨーク土産まで 持参して
ニコニコした顔で いつもの待ち合わせのこの店に 入ってきたのが
1時間前なのだ。
私は もう冷めて 香りも判らなくなった ミルクティーを
一口 飲み干した後、
メンソールの煙草に火をつけ。。。口を 開いた。
『巧く伝えられないけれど もう 無理だと思うの。』
私は いつもの癖で ピアスを確かめるように 耳朶に触れながら
言葉を 続けた。
『貴方を 嫌いになったとか 夫に バレそうだからとか。。。
そんな事では ないの。
でも もう 無理だという事が 分かってしまったの。
ただ それだけの事。』
苛立った彼は 店の中の人に 聴こえるんじゃないかという様な声で
『君の言ってる意味が 僕には 伝わらないよ!!
兎に角 店を換えて 話そう。』
『いいえ。。。。もう 私は 帰るわ。ごめんなさい。』
そう言い終えると、煙草をもみ消し 私は 店を 後にした。
私を追って飛び出してきた彼の 私の名を呼ぶ声に
一度も振り返ることなく タクシーを拾い。。。自宅の場所を告げて
深く座席に 身体を沈めた。
早く リュウの待つ 家に帰らなければ。。。。。
私の頭の中にあるのは それだけだった。
今 別れた彼の事も 今夜も遅いであろう 主人の事も
私の ココロには 存在していなかった。
街の明かりが。。。。。雨に濡れて キラキラ 踊っていた。
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