『名も無き 雑草。・・そして 此処に おります♪』 


by deracine_anjo
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『☆深紅の薔薇とおわら風の盆☆』 (23)



 こう言う言い方をすれば お叱りを受けるかもしれないが 

 『病院も商売。患者はお客様。』

 お金に成らない患者ほど 待遇が悪くなるのは 致し方ないのだろう。

 入院して数日後から 母は 見舞う度に 機嫌を悪くしていった。

 病気の所為ではない。

 交替で検温等で部屋を訪れる毎に 看護婦さんが

 『今後 どうされるおつもりですか?』と やんわりと迷惑そうに告げると言うのだ。

 入院をした時点で 延命治療や無駄な検査 治療を断る書面を出した事で

 母は 個室料金と食事代だけを払う お金に成らない 厄介者に成った訳だ。

 点滴1つする訳でもなく 数少ない個室を使い 見た目には重篤患者でもない。

 もし 今日、明日中に 危篤状態に成ったとしても 延命治療を行なわない患者

 なのである。

 通常 3ヶ月間の入院は出来る筈なのだが 其れすら 迷惑がっているのが

 感じられるというのだ。

 (今一度 自宅にでも帰って もう少し調子が悪くなったら 入院してくれば

 良いのに。。。)と言うところなのだろう。

 何とか 担当医の先生のお力で 押さえ込んでくれているであろう事は

 漠然とだが 私にも感じられた。



 担当医は 針の筵に居る母の気持ちを察して

 『気分転換を兼ねて 何処かに出掛けても構わないし 外泊しても構わない。』

 と 告げてくれた。

 又 部長回診の時も それとなく上手くホローして下さっていた。

 苦しい立場に置かれていたであろうに。。。

 母の気分転換を考え 体調の良い日を選んで 外出する事にした。

 行き先は 出来たばかりだった 『海ほたる』と『東京ディズニーランド』

 病院から 母の体力を考えて 最短で行ける場所を選んだ。

 当時の写真が残っているが 母の車椅子を押す私の微笑みは 今観ても

 寂しい笑顔。。。

 そして 母の笑顔は ミッキーに握手され ハグされ 子供の様だった。

 何処に行っても お土産を買うのが好きだった母は 私に 『クマのプーさん』の

 ぬいぐるみを。。。そして たった一人 母に何くれと無く気を使ってくれた まだ

 若い看護婦さんにキーホルダーを嬉しそうに 買った。

 勿論 担当医の○○○先生にも。。。

 

 そして その外出を切っ掛けに 転院を真剣に考える事になった。

 そう。。。『ホスピス』への 転院を。。。。

『☆深紅の薔薇とおわら風の盆☆』 (23)_a0021871_12525473.jpg
 
by deracine_anjo | 2006-01-16 14:08 | ☆深紅の薔薇とおわら風の盆☆