『名も無き 雑草。・・そして 此処に おります♪』 


by deracine_anjo

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ただただ 静かに東郷の言葉を待っていた。
『はははっ・・・優子。そんな 泣きそうな顔をする事はない。
唯の過労と面倒な定期検査だ。
お前さんの倍 生きてきた身体だ。多少のガタが来て当たり前だ。
そんな 不安そうな顔をして 心配せんでいい。
ただ 政治家じゃないが 今こうして 病院に入っている事自体は 悟られる事を避けるに越した事がないのが 私の立場だ。
予定では 1週間の検査だ。
お前さんの事だ。毎日 見舞いに来るつもりだろうが 今回は 静かに自宅で 待つんだ。
私は 直ぐに 戻る。言っている意味が 分かるな、優子。』
喉まで 出掛かっている言葉を 飲み込む様にして 静かに優子は 頷いた。
『処で 警察は動き出した様だな。いつ何時 連絡があるかも知れんから 優子も出来るだけ 自宅で待機しておくんだぞ。
あの弁護士の杉浦は 俊腕弁護士だ。信用して大丈夫だ。上手く警察と話を付けてくれるから 安心して 吉報を待つんだ。
それに 警察もお前さんが持ち込んだ証拠で 深田興業を叩けると 喜んでいる様だ。
少々 奴らも やりすぎたよう様だな。はははっ・・・。
己を知らん奴は いつか 思い上がって 足元を掬われる。』
東郷の言葉は 幾つもの 深い河を渡って来た男の真実の言葉だったのだろうが 正直 優子は東郷の体の事が心配で 成らなかった。



帰宅して 自室に戻った優子は ボンヤリと花瓶に生けた花に目をやった。
ポトリと落ちている花弁を 見つけ 思わず 花瓶から全ての花を抜き取り ゴミ箱に捨てた。
(本当に 定期検査なのだろうか・・・。あの物々しい機械に囲まれた東郷の姿。此処最近の 東郷の様子・・・。何度か尋ね様としては 止められた。けれど 東郷の言葉を信じたい!)
優子は今一度 出掛ける準備をして 全ての部屋を 見て回った。
幾つか もう 生気を失い掛けている花もある。
ここ数日 バタバタとしていた所為だ。
お手伝いの人に声を掛けて 優子は 花屋へと向かった。
ジッとしていられない自分を 励ますように 一抱えの花を注文し 配達して貰う様に手配した。
届いた花の中から 一番最初に 茶室に花を活けた。
活けながら 優子は 声を殺して 泣き続けていた・・・・。
この部屋で 幾度 東郷の為に 茶を点てて来た事か。
この静かな場所に 東郷の姿が無い事が これ程までに 胸を締め付けられるとは 自分でも思いも寄らなかった。
(お帰りをお待ちしております。)
何度も何度も 心の中で 呟く優子だった。



警察からも杉浦さんからも何の連絡もない儘に 一週間が過ぎた。
部屋に引き篭もりがちに成っていた優子の部屋のドアが 静かにノックされた。
『はい・・・どうぞ。』
『失礼致します。今 お電話がありまして ご主人様が お戻りに成られるという事です。』
思わず椅子から立ち上がり 
『何時ごろですか?それは・・・』
『夕食時までには お戻りに成られるという事でしたが。』
思わず時計を見ると もう 3時近い。
『分かりました。直ぐに出入りの魚屋に電話をして 粋のいい物を刺身で届けさせて下さい。それと 小鉢のお料理は 私も手伝いますので 何か旬のものを買って来てください。
直ぐに 私も用意をして 下に参りますので 御願いいたします。あっ!!お肉も 取り敢えず 用意しておいて下さい。』
『はい。分かりました。』
優子は 直ぐにシャワーを浴び 手際よく着物に着替えて 明るめに化粧を施し 急いで階下に降りて行った。
直ぐにでも 茶が点てられる様に 一番最初に 茶室を覗き それから キッチンへと向かった。



帰宅した東郷は 事の他 機嫌が良く 心配していた程 疲れた様子もなく 優子が用意した食事も 久し振りに綺麗に平らげてくれた。
『やはり 優子の料理は 美味い。それに 自宅は いいものだ。
優子 茶を 点ててくれるか?』
『はい・・・ご用意させて頂きます。』
茶室で 静かに東郷を待っていると 暫くして東郷が 穏やかな顔をして現れた。
『優子。心配掛けたようだな。随分と痩せた様だが・・・・』
『お帰りなさいませ、東郷様・・・』



それ以上 言葉に成らず 両の掌に 真珠の様な雫が ハラハラと 舞い降りていた・・・・。

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             『鏡の中の女』 小説 (17)
by deracine_anjo | 2005-04-30 12:17 | 『鏡の中の女』 小説

『何故。。。。?』

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    いつも  ココロ  の中に


    渦巻く  疑問符


    だけど


    確かめる  術も無く


    確かめたとて  もう


    戻る事など


    出来はしない。。。





    それでも  


    時折  痛みと共に  蘇える


    




    『何故。。。。?』
by deracine_anjo | 2005-04-30 05:03 | ひとひらのkokoro...

『演じる』

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     強いオンナ  演じるのは


     もう  苦痛では  無くなった


     これが  案外  似合っているとさえ


     自分で  想ふ


     けれど


     時には  その仮面


     外してみたくなるのも





     嘘では  無いの。。。






          ただ・・・外し方  忘れたけどね♪





     
by deracine_anjo | 2005-04-30 04:11 | tameiki ひとつ。。。
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    歩くのは  早い方だけれど


    直ぐに  迷子に成るの


    だから


    もっと  自信がつくまで





   


    手を  離さないでね。。。。
by deracine_anjo | 2005-04-30 03:47 | つ・ぶ・や・き・・・・

東京に戻り 当時担当していた渋谷警察署の藤原を弁護士と共に尋ね ダビングしたテープと男の署名捺印した書類 その他の物を渡して 再調査を依頼した。
其処でも 藤堂の力が働いていたようで 藤原は卑屈なほどに 私に対して対応するのが かえって その事が あの時の 悔しさを思い出させたが 敢えて冷静に対応する事は 何とか出来た。
後は 警察に任せるより 仕方が無い。
何処まで 相手を追い詰める事が出来るか・・・それを 優子は 只 待つしかなかった。
しかし それよりも 胸が痛んだのは やはり 想像した通り 同じ様な訴えが 出ていた事だった。
案の定 相手は 他にも優子と同じ様な犠牲者を 出していたのだ。
歯軋りしたくなる位 優子の胸が 怒りの為に 焔となっていた。
証拠を出せない人間は 結局 泣き寝入りをしなければ成らなかった。
そして 哀しいかな 証拠がない時点では 警察も 動けない。
今回 優子が持参した証拠によって 初めて 警察が本格的に 動ける訳だ。
『今度こそ この証拠を使わせて頂いて 深田興業を 法廷に引きずり出してみせます。お約束致します。』
『私の件だけではなく 他の方の事件も もう一度 再調査して 二度と 深田興業が 大手を振って この社会で生きていけない様に して下さい。そうでなければ 『殺された者』は 浮かばれません。
藤原さん・・・御願い致しますね。』
『はい。お約束致します。』
『その言葉 今回は 信じますが 貴方方 警察の方が どれだけ 遺族の訴えを 蔑ろにしてきてか・・・心に命じて 下さい。 
吉報を お待ちしております。』
一見 穏やかに微笑む優子の瞳には 甘さの一欠けらも無かった。



弁護士と別れた優子は 久し振りに銀座へと足を運んだ。
まだ 夜の女達が 街を華やかに彩る時間ではない。
気が付くと 自然に足が 『ジョゼ』へと 向かっていた。
結局 短い時間だったが あの店で 生きていた事で 東郷と巡り会えた。
感謝の気持ちが 優子の中で 浮かんでは消え さっきまで 刺々しかった心を 癒してくれる。
心なしか 足早に成る優子。
けれど・・・・『ジョゼ』 の看板は 無かった・・・。
これが 現実の 夜の世界なのだ。
けれど きっと あのママは この華やかな世界で 生きている筈。
小さく頭を下げ 優子は 踵を返して 去っていった。



東郷の為に デパートで幾つかの食材を買い求め 急いで帰宅した優子に 心配していた現実が待っていた。
『優子様 お帰りなさいませ。お帰り早々 申し訳ございませんが 今直ぐ こちらの病院においで頂けないでしょうか?
ご主人様が 御入院なされました。』
メモ用紙をもぎ取る様にして そのまま 優子は 家を飛び出した。
玄関先で待機していた車も 優子が何も告げなくとも そのまま 病院まで 優子を送り届けた。
病院の玄関では 東郷の秘書の一人が 待ちかねた様に 直ぐに 優子を見つけ そのまま 特別室へと優子を連れて行った。
静かにドアをノックして 中に入った優子は 思わず 涙ぐみそうになったのを 必死で堪えた。
今朝 一緒に朝食を共に過ごした東郷ではない。
腕には 点滴が入れられ 多くのモニターに囲まれ ドクターらしき人間も 側にいる。
『優子。そんな顔をするんじゃない。お前さんは 笑っている顔が 一番 綺麗だからな。悪いが 少しの間 優子と 二人だけにしてくれ。
それ程 長い時間ではない。』



優子は 東郷の手を 握りしめ・・・静かに 東郷の言葉を 待っていた・・・・。

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             『鏡の中の女』 小説 (16)
by deracine_anjo | 2005-04-29 13:56 | 『鏡の中の女』 小説
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    壇ノ浦で  入水した  『安徳天皇』  の


    霊を  慰める為に  始められた祭りと言われ


    豪華な花魁道中  が  繰り広げられる



    

    けれど  この  5月


    アタシにとっては


    過去  現在  未来






         

             始まりの時なのだろう....





    
by deracine_anjo | 2005-04-29 12:05 | ひとひらのkokoro...

『小さなご褒美♪』

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    1日おきの  病院通いを


    ただいま  続行中のご褒美に


    1個 1050円也の  バレッタ  2つ♪


    一つは  前に  お友達に頂いた物だけど


    飾りが繊細すぎて  少しずつ   


    壊れてしまうから


    そろそろ  仕舞っておくつもり♪





            安上がりに出来てますでしょ。。。
by deracine_anjo | 2005-04-29 07:27

『苦手な季節』

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    大人に成れない  自分が  歯がゆい


  
    けれど  街を  何気に歩いていても



    新聞の折り込み広告を観ても



    FAXやPC で  送られてきた 


    
    だいれくとめーる  たった一枚の中に



    書かれた言の葉


    




          6年経っても   まだ   少し  痛いんだ







                   『母の日』    
by deracine_anjo | 2005-04-28 22:13 | ひとひらのkokoro...

『待ち時間。。。』

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    大好きな おヒトを  待つのなら


    幾らでも  お待ちいたしまょう♪


    けれど・・・


    予約時間  一時間前近くに  手続き済ませて


    待たされるのは  何時間?





 
           愛車も  つまらなさそうよ♪
by deracine_anjo | 2005-04-28 17:36 | tameiki ひとつ。。。

優子が東京に戻って3日後 夕食が始まって直ぐに 東郷から
『明日の飛行機の手配はしたので 札幌に行って来るんだ。
奴が逢いたいと言っているそうだ。連絡が入った。』
『本当でございますか?』
『奴が 正直に答えるのかどうかは 分からんが 兎に角 直ぐに行く事だ。いいな。』
『はい、分かりました。きっと 聞き出して参ります。』
『はははっ・・・優子は 見込んだだけあって 中々 怖い女じゃな。』
『東郷様・・・申し訳ありません。でも 今は 『鬼でも邪でもなって』 真相を突き止め キチンと相手に 自分たちの侵した罪を 償ってもらいとうございます。』
『それでいいんだ。元々 お前さんは そんな女ではない。
けれど 今は 鬼に成れ!!命を賭ける位の覚悟でな。』
『はい。ありがとうございます。では 明日 札幌に出向かせて頂きます。』
『ああ・・・首尾を 楽しみにしておる。さあ・・・折角の料理が 冷めてしまう。食べよう。』
『あの・・・一つ 余計な事を 言っても構いませんでしょうか?』
『優子。お前さんの言いたい事は 充分 分かっておる。
その時が来たら 私から 話をする。』
『はい・・・失礼致しました。』
優子の心に 小さな波紋が 段々と広がっているのを 東郷は察した上で 敢えて抑えた。



男は優子の目の前で 静かに語り始めた。
『上原さん・・・だったな。俺が証言すれば 俺は放火と殺人の罪に問われる。麻薬取締法違反なんて チンケな罪だけじゃない。シャバに出られるのは いつになるか 考えただけで 気が遠くなる。
この檻の中に居ても 脅えて暮らさなきゃならない。 自殺も考えたが 看守が それすら 出来ない様にしている。守られているとは 思えないが 今までとは違う事だけは感じる。それが アンタの後ろ盾の力なのか?』
『はい。そう申した筈です。
貴方が 関わった人間は 高々 麻薬と少量のお金を貴方に握らせ 自分自身は手を汚さぬまま のうのうと甘い汁を吸っている人間。
私の後ろ盾に成って下さっている方は 次元が違うお力を持っていらっしゃる方です。 
貴方の命は 私の命と引き換えにしても 守って頂きます。
守ってくださる方です。貴方は 人を信じる事など 生まれてこのかた 無かったかもしれませんが 一度くらい 信じてみては 如何ですか?』
暫くの沈黙が 二人の間に 流れた。
優子は 初めて 男に対して 穏やかな瞳で見つめ 男は その瞳を じっと見つめ返していた。
漸く 男は口を開いた。
『上原さん。本当に申し訳なかった。この通りです 。許しては貰えないとは思うけれど 俺は家に火を点ければいいと言われただけなんだ。
まさか アンタの両親が あんな事になるなんて 思いもしなかった。
毎晩 毎晩 夢で うなされ続けていた。嘘じゃない。
怖くて 怖くて もっと 薬に溺れた。
俺は 相手の名前と 言いつけられた事を遣っただけで それ以外は 本当に 何も知らないんだ。でも 証言台に立つよ。
俺に その仕事を言いつけた奴らの名前を 法廷で証言する。
勝手な事を 言っているのは 分かっている。本当なら 死んでお詫びをしなきゃ成らないんだろうが もし 証言する事で 許して貰えるのなら 俺も 人生を もう一度だけやり直してみたい。
いや 悪夢から 助けてくれ。 頼みます。』
硝子の向こうで 肩を震わせ 涙ながらに告げるこの男の言葉を全て信じられるのか・・・自問自答しながらも 一呼吸置いて 
『貴方の言葉を 信じます。明日 弁護士と一緒に 窺いますので その時に 全てを告白して下さいますね。
ちなみに 貴方に仕事を依頼した相手は 『深田興業』ですね。』
『はい・・・深田興業の上坂という男です。』



優子は 静かに 鞄の中のテープのスイッチを・・・・止めた。

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            『鏡の中の女』  小説  (15)
by deracine_anjo | 2005-04-28 17:20 | 『鏡の中の女』 小説