『名も無き 雑草。・・そして 此処に おります♪』 


by deracine_anjo
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カテゴリ:『風を感じて』 短編小説( 10 )

優香は積極的に 治療とリハビリに専念し 義足の製作にも取り掛かって貰っていた。
その傍らで 母の見舞いと世話も一手に引き受けていた。
優香から『美香ネェは キャリアがあるんだから チャンと再就職して。』と言われ 私は仕事に復帰した。
来年から優香も大学に戻る事になった。
後は この家に母が戻ってきてくれればいいだけ。



入院当初は 多少錯乱していた母も 火傷の傷が治る毎に 少しづつではあるが落ち着きを取り戻し それ程遠くない将来 帰れるだろう。
あの冬の日・・・・。
やり切れない事故に遭遇し 片足と心を失ってしまったかに思えた優香は 今 姉の私からみても 一回りも二回りも 人間的に成長していた。
優しさと強さ・・・そして 思いやりを持った大人の女性に成長していた。
家族の誇りだった。
母が揃っていない寂しさはあったが 笑いの絶えない家族に戻っていた。



人間とは とても 『脆い』 ものである。
けれど 立ち直れる 『強さ』 も 持ち合わせている。
それを 私は 優香に教えられた。
これからも 何が 起こるか分からないけれど 私達家族はきっとその事に真正面から 立ち向かっていけると 思える。



休日の午後。
父、優香、私の三人は病院に向かっていた。
昔に戻った優香は 1人でお喋りをして 私達を笑わせていた。
運転席でそんな優香を優しく見つめる父がいた。
病院に到着し 駐車場に静かに車を停めた。
助手席から 優香が降り立った。
身長168センチ セミロングの髪 零れる様な微笑を浮かべ パンツ姿の優香は両足で立っていた。
通り過ぎる人が 振り向きたくなる位 優香は輝いていた。
一陣の風が 私達の頬をそっと撫でて通り過ぎた。



先頭に立って歩き出した優香の後姿を 私達は暫く見つめていた。
振り向いた優香が 大きな声で
『パパ達何しているの~~。ママが首を長くして待ってるわよ。早く!!』



その時 又 風が 優香の髪を優しく揺らした・・・・。


                      完

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           『風を感じて』  短編小説  『最終章』



・・・・・・・・・・・・☆☆ ・・・・・・・・・・☆☆ ・・・・・・・・・・☆☆・・・・・・・・・・・

追記:拙い文章に お付き合い頂き ありがとうございました。
    又 機会がありましたら お付き合い下さいませ。


                              deracine_anjo


 
by deracine_anjo | 2004-12-30 16:22 | 『風を感じて』 短編小説
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帰りのインターチェンジで休憩を摂った私達は 燃える様な夕焼けを 黙って見つめていた。今日一日の事が走馬灯の様に私の心を駆け巡り 夕焼けが滲んで見えた。
帰りも優香が運転していた。
行きに比べると 数段の安定感を取り戻していた。その事だけでも 私は充分嬉しかったし
『希望』という文字が 心を一杯にした。
私達は 心地よい風に吹かれながら いつまでも夕焼けを眺めていた。



今回のたった一回の外出で テレビドラマでもあるまいし 画期的な変化が優香に現れる等とは 私は始めから思ってはいなかった。
唯 自分の好きな場所に 自分の足で立ち 好奇と同情の入り混じった他人の視線に晒され
それでも 充分に私は優香の心に 小さな変化があったと思っている。
いつか 言葉も感情も 取り戻してくれる。
焦らずに ゆっくりと歩めばいい。
優香の心は『死んでなどいない』・・・私は それが分かっただけで 充分だった。



自宅まで優香に運転させても構わなかったが 少々疲れた様子だったので 交替して帰宅の途についた。
定期的に電話連絡を入れていたにも拘らず 父も早く帰宅していた様で 車を車庫に収めた途端 二人は玄関で待っていた。
『ただいま、パパ、ママ。とっても 楽しかったわ。はい これお土産ね。』
『お帰りなさい。大丈夫だったの?怪我なんかしなかった?』
『勿論この通り 皆元気に帰ってきました。ママ 心配性なんだから。
ミク 少し汚れちゃったから 先にお風呂に入れちゃうけど いいかしら?
それに お腹もぺこぺこ。』
『優香も着替えていらっしゃいよ。』
何の返事もなく 松葉杖で自室に向かう優香の姿を見て 父は一度に劇的な変化が見られるとは思ってはいなかった様子だが 母の落胆は心に痛かった。



食卓を囲んで 食事を始め様とした時に その事件は起こった。
キッチンで揚げ物をしていた母。
何気に優香が水を取りにキッチンに入った途端 
『キャーァ、ママ 危ない!!!パパ お姉ちゃん 早く来て!!』
椅子を倒す様にして キッチンに飛び込むと 優香はママに飛びつき倒れこみ 天麩羅鍋から火柱が立っていた。
父は慌てる事無く 側に置いてあった消火器で直ぐに火を消し止めた。
私は直ぐに ママと優香の側に駆け寄って
『怪我は?何があったの?ママ!!どうしたの??』
矢継ぎ早に質問するが 母はボンヤリとしたまま何も答えない。
そして 優香が・・・・



『私の所為だわ。私がママを苦しめた所為だわ。』
泣きじゃくりながら そう叫んでいた。



母は 軽度だが火傷をおい 救急車で運ばれ そのまま 入院する事になった。
母の心が 壊れてしまったのだった・・・・。


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           『風を感じて』 短編小説 (9) 『誤算』
by deracine_anjo | 2004-12-30 14:15 | 『風を感じて』 短編小説
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翌日は 気持ちのいい五月晴れだった。
久し振りのドライブに ミクは朝から大ハシャギ。
母は早朝から作ってくれた愛情たっぷりのお弁当と水筒を私に手渡しながらも 不安げに何度も何度も
『無茶はしないでね。チャンと定期的に 連絡してよ。』と繰り返していた。
出社を送らせて玄関で見送る父も又 言葉に出来ない思いを私に伝えていた。
私は にこやかに微笑み
『今迄だって そんなに心配しなかったのに・・・変よ、パパ、ママ。
お土産 楽しみにしててね。
じゃあ 行ってきま~~~す。』
私は 心地よいエンジン音を聞きながら 隣の優香に そっと
『久し振りのドライブ。楽しもうね。』
そう声を掛け 静かに発車した。
バックミラーに いつまでも 両親の姿が写っていた。



山中湖近くにあるその公園は 北海道程の大規模なモノではないが 
私達は気に行って 免許取立ての頃良く 互いの運転で通った想い出の場所だった。
サンルーフを全開にし 優香の好きなB’zの曲をBGMに 快適なドライブは続いた。
空は何処までも 青かった。
インターチェンジで トイレ休憩を取り おもむろに私は『賭け』に出た。
無謀な賭けだと 分かっていた。
一歩違えば 私達二人の問題では済まされない事は 百も承知していた。
昨夜一晩 考えに考えて それでも私は優香を信じる事に賭けてみたかった。
『優香 交替!!疲れたら 又 私が運転するから。』
突然 私に放り投げられた鍵を何とか受け止めた優香は 一瞬何を言われたのか分からない様子で 私を見つめた。
元々 私より 運転の好きな子だった。
ふらりと1人で ドライブをして帰ってきては 良く母に叱られたものだ。
けれど 片足になり バランス感覚も崩れているだろう優香に運転させるなど 幾らオートマチック車といえども 無謀以外の何ものでもない。
でも 私は『命』を預ける覚悟で このドライブを実行したのだった。
優香がもし 全てに悲観して そのまま谷底に 私とミクを道連れにダイブしても構わないと  私は 優香を見つめながら 心の中で 呟いていた。



運転席に身を沈めた優香は 久し振りの心地よい振動に 暫くの間 何かを感じている様だった。
私は黙ったまま ミクの頭を撫でながら その時を静かに待っていた。
ゆっくりと ギヤーを入れ サイドブレーキが解除された。
発進した車は 案の定 不安定な走行だった。
それでも 私は 怖くは無かった。
少しいい子ぶった言い方をすれば 『嬉しかった』
左斜線を危なっかしく走っていた車が 少しづつ 安定し始め 優香の感覚
が目覚めた様に少しづつ 加速されていった。
流れてゆく景色が 滲んで見えた。



料金所を過ぎた所で 静かに車を左に寄せ ハザードを出して私に振り向いた優香の瞳は 心なしか 輝きを取り戻したように私には思えた。
『お疲れ様。腕 鈍ってないね。それじゃあ 交替しよう。』
横を通り過ぎる車が 運転席から出てきた優香が松葉杖を突いて 助手席に移るのを 不躾な視線と驚きで 見つめながら過ぎていった。
けれど 私は 逆に 妙に 誇らしく思ったのを 今も覚えている。
優香は少し疲れたのか 公園に着くまで 瞳を閉じ眠っている様だった。
到着し車を駐車場に停め 私は小走りに管理人室らしき場所に走っていった。
『すみません。車椅子の人間と介助犬・・・・入園できますか?
ハーネスを忘れてしまったのですが・・・・キチンとした介助犬ですので 御迷惑はお掛けしませんが。』
自分でも呆れるほど スラスラと言葉が流れるようについて出た。
相手は一瞬 躊躇したが 私の態度に好感を持ってくれた様で 許可が下りた。
『いいでしょう。でも 今後はキチンとハーネスを何処に出掛けられるにしても 忘れないように。楽しんできてください。』
『ご無理を言って申し訳ありません。妹が喜びます。ありがとうございました。』



車に戻った私は 優香に
『えへっ。ミクは介助犬になったから 取り敢えず 車椅子に乗ってね。
中に入っちゃえば 松葉杖でも どちらでも構わないわ。
あ~~お腹空いちゃった!!!
早く ママのお弁当 食べましょ。』
いくら 今年は 暑い日が続いたとはいえ まだまだ 若いひまわり畑の中を 私達は 思い思いの心を抱いて 一歩一歩 歩き始めた。
無垢な心のミクを お供に・・・。



 
そして ホンの僅かだけれど・・・・・
私は 優香の心が 確かに動いてくれたと 信じる事が出来た。 

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         『風を感じて』 短編小説 (8) 『それぞれの願い』
by deracine_anjo | 2004-12-30 01:15 | 『風を感じて』 短編小説
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定期検査が終わった後 数日間 私達はそれぞれに自分の心の中で 
色んな思いの中 葛藤を続けていた。
そんな中・・・次第に ボンヤリと過ごす事が多くなった母に対しての配慮が欠けていたのは事実であった。
優香は母の血を継いだんだ・・・と言わしめるくらい社交的だった母までも 
気が付くと閉じ篭もり 息を潜めているような生活だった。
何故 悪い事をしている訳でもない私達が こんな状況に追い込まれなければいけないのであろうか!!
腹立たしさに 不覚にも涙してしまう日もあった。
そして ある夜 優香が病院から出されている睡眠薬を飲み グッスリ眠った事を確認した私は 夜遅く帰宅した父の書斎に向かった。
退院後 私は俄か看護婦の様に 『薬』に関しては 注意をしていた。
それは・・・・・万が一にも優香が・・・という 杞憂が正直 あったからだ。



静かにノックをした。
『はい?美香かい?どうぞ・・・』
父は私がいつか 何かを言って来ることを予測していたかの様に 暖かく部屋に招きいれた。
小さな会社だが 取締役という立場の父と心を閉ざした優香と 家庭も不安定な状態のまま数ヶ月が過ぎていった状況下の中 父は正直疲れていた。
けれど 私を暖かく部屋に向かい入れ ソファーに深く腰を沈め 私の言葉を待っていた。
『パパ 私なりに考えた事を お話ししたいの。』
『うん?続けてくれて構わないよ。最後まで 美香の話を聞く事にするから。』
『ありがとう、パパ。
私なりに 病院から戻って色んな事を考えたわ。自然に任せた方がいいのかとか 担当医の先生が仰っていた様に 優香を病院に連れて行ったほうがいいのか・・・・毎日毎日 堂々巡りの様に 答えが見つからなかった。
でも 漸く 一つの結論を私なりに 出したの。
拒絶反応でも パニックを起すかもしれないけれど 私は優香を外に連れ出してみようと思うの。
好奇の目に晒される事も 百も承知。
それで 優香の心に何かが芽生える事が出来るかもしれない。
今迄みたいに 息を殺した様な生活を 変えてみたいの!!
それで 優香を傷付けてしまったとしたら 私 一生を賭けて償うわ。
勿論 その時は 専門家の力を借りる事も考えている。』
堪え様としても 溢れる涙が頬を伝ってゆく。
静かに 私の言葉に耳を傾けていた父の瞳からも 光るものが零れ落ちた。
『それは 大きな賭けだね。
優香の心を もっと頑なにしてしまう事も考えられる。
今以上に 傷付いてしまうかもしれない。でも パパも考えていたんだ。』
一呼吸おいて
『どんな事があっても パパが美香も優香も守る。だから 美香 頼んでいいかい?』



出掛ける前日 夕食の準備を手伝いながら 母にも私の考えを伝えた。
一瞬 母は顔色を変えたが何も言わず それから
『じゃあ ママは明日の弁当を用意するわね。ママは行けないけれど 大丈夫?』
苦しそうにそう呟いた。
『ありがとう、ママ。今回は優香と二人 優香の好きな『ひまわり』を 見てくるわ。
心配しないで。ちゃんと 連絡も入れるから。
お弁当楽しみにしてるわね。』
私は努めて明るく答え 優香に夕食が出来た事を知らせにキッチンを離れた。



その時の 母の苦渋に満ちた瞳の色に 気が付く事が出来なかった・・・・。



テーブルを囲んで食事をしながら 優香に明日の事をさりげなく切り出してみた。
『優香 明日 私とドライブしない?
この分だと お天気も良さそうだし・・・。
気分転換に私に付き合ってくれないかしら?ミクも連れて。
ママが 美味しいお弁当を作ってくれるって。二人で出掛けるなんて久し振りじゃない?
どうかしら・・・。』
相変わらず黙ったままの優香とは反対に 自分の名前が出た事でテーブルの下で寝ていたミクが 訳が分からないながらも喜んで 大きく尻尾を振り優香に甘えていた。
そのミクを撫でる優香に ひとすじの期待を込めた。



そして 心の中で私は
『どんな状況になっても 優香は私が守る・・・』と 心の中 呟いていた。





          『風を感じて』  短編小説 (7) 『小さな賭け』
by deracine_anjo | 2004-12-29 09:43 | 『風を感じて』 短編小説
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もう 初夏を感じさせる様な晴れ渡った月曜日の朝。
一ヶ月検診の日 珍しく母も同行して 父の車で出かけた。
取り敢えずトランクの中には車椅子を積んでおいたが あの日以来 優香は余り使う事が無かった。
そして 何よりも優香にとっては久し振りの外出だった。
幾ら誘っても家から出る事を拒んで一度も退院以来 外出をしていなかったからだ。
しかし 車が自宅から出る瞬間に 私達は不躾な目に晒されているのを否応無しにそれぞれが感じていた。
そっと横に座る優香を見たが 何の感情も表情から うかがい知る事は出来なかった。
助手席に座る母の背中が 小さく見えた。



病院に到着して 優香は検査とリハビリセンターに向かい その間に私達は担当医に呼ばれた。
『今 お嬢さんの検査結果が上から降りてきました。
順調な回復です。それに 右足の筋力が随分付いていますね。
左足に関しても 問題はありません。この分でいくと そう遠くない時期に義足の検討に入りたいと思いますが。その後 お譲さんの状態は如何ですか?』
父は正確に今の優香の状態を伝えようと 言葉を選びながら一つ一つ報告した。
『自宅では 自分の事は自分でやろうとしていますので 殆んど車椅子を使わず松葉杖で生活しています。 それで 右足の筋力が付いているのだと思います。
しかし 自宅に戻ってからも一度も外出はおろか やはり言葉も発しない状態で 自室に閉じ篭もったきりで過ごしております。
心療内科に連れて行くことも考えは致しましたが まだもう少し待ってやりたい気がして そのままの状態です。』
『そうですか。その他に 何か変わったことはありませんか?』
『当然の事なのかもしれませんが あれだけ社交的だった娘は 誰とも会う事は勿論 連絡もしていないようです。今はメールという手段があるのですから 言葉を発する事が出来なくても連絡を取ることは出来る筈ですが それも していない様子です。』 
『私は心療内科医では在りませんので 正確な事は申し上げられませんが やはり閉ざしてしまった心のケアは 専門家に任せるというのが いい様な気が致しますが。
それに 今のお話ですとこれからの治療に関しても 拒絶反応を起す事も考えられます。
皆さんでもう一度 検討してみてください。
決して心療内科は 怖い所ではありませんから。』
そう優しく諭す様に私達に告げると 
『もう直ぐ リハビリセンターから戻ってこられると思いますので 待合室でお待ち下さい。
では 又 一ヵ月後にいらして下さい。』



私達は待合室で優香を待ちながら それぞれに自分の心と話している様だった。
アメリカでは 『カウセリング』等というものは 日常的な事だと言うこと位は知っている。けれど 父が言うように 優香に『心療内科に行かないか?』などと言う事で 一段と優香を追い詰めてはしないだろうか・・・・。
私自身だったら・・・・と考えてみるが 結局 堂々巡りで答えが出ない。
『遠藤さん・・・終わりましたよ。』
看護婦さんから声を掛けられるまで 互いに言葉もなく考え込んでいて 優香が戻ってきた事に誰も気が付かなかった。
『優香 お疲れ様。先生が凄く順調だって仰ってくれたわよ。良かったね。』
優香の車椅子に駆け寄り 明るく声を掛け 看護婦さんに頭を下げた。
『では お会計を済ませて 今日はこれで終わりですので。お大事に。』
優香と同年代だろう彼女は 軽やかな足取りで去っていった。
一瞬 胸を締め付けられる様だった。
『じゃあ パパは会計を済ませてくる。玄関で待っててくれ。』
そう言って立ち去る父の背中が 泣いている様に見えた。
『優香・・・折角だから 久し振りに外食でもして帰らない?私 お腹ぺこぺこ。ママもでしょ。』
ボンヤリとしていた母も慌てて 
『そうね。ママもお腹空いちゃった。優香そうしましょう。パパにうんとご馳走して貰いましょうよ。』



けれど・・・・
いつもの様に 無言のまま 優香は遠くを見つめていた。


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           『風を感じて』 短編小説 (6) 『定期検査』
by deracine_anjo | 2004-12-28 16:40 | 『風を感じて』 短編小説

数ヶ月前と何が変わったのか・・・それは 優香が事故にあい 左足の膝から下を失ったが・・・今にして思い返せば とても 重大な事ではあるが 命を失った訳でもなく 半身麻痺だとかいう 日常生活が全て一転してしまう事でもなかったと 思えるが・・・あの時は 正直 優香にどう接していいのか 家族全員が迷っていた。
私自身 ありとあらゆる書物を買い求め 『心のケア』だの『心理学』等を読み漁ったが 結局 優香が退院してくる直前に 全て捨てた。
付け焼刃で答えを探す事が 私の性格からは性に合わない事と『心の痛み』に関して まだ鈍感だったのだと想う。
人間というのは 『ジブンの痛み』に関しては 過敏だが 哀しいかな『人の痛み』に対しては鈍感に出来ている事を 改めて思い知らせられた。
『思いやり』と『同情』も そう言った意味では 紙一重だと今は 想う。



とはいえ・・・優香が退院してきた事によって 形だけは 『元の家族』に戻った。
出来るだけ 特別扱いは避けようというのが 父、母、私達の暗黙の了解で 今迄と変わりなく・・・というのが これ程までに 空々しいものになるとは想いもよらなかった。
変わらないのは ミクだけだった。
仕事を辞めた私は 出来るだけ優香の側に居ようと思っていたが それがかえって 優香の心を頑なにしたような気がする。




ある日の午後だった。
ミクの声に驚いた母と私は 慌てて優香の部屋に向かいノックもせず ドアを開けた。
其処には 車椅子から転げ落ちた優香の姿が目に飛び込み 床が濡れていた。
出来るだけ気をつけて声を掛けていたのだが 優香なりに自力で何とかしようとしていたのを私達が手を出す事で 優香の心を傷付けていたのだった。
優香を抱き起こした私が松葉杖を渡すと 優香はクローゼットから下着と着替えを自力で用意し バスルームへと向かった。
『大丈夫?』・・・・後姿にそう 声を掛けたい思いを我慢して 母と共に汚れた床の掃除を済ませた。
退院以来 優香は 自力でお風呂に入るようになっていた。
勿論 家族は息をひそめる様に 優香の行動を見つめていたが 今にして想えば やりきれなかっただろう。
その日以来 優香は松葉杖を使いながら 出来る事は 自分でやろうとしていた。
それを 私達は単純に 喜んでいた・・・。
しかし・・・・・。



それとは別に 私達は地元で生まれ 育ってきた環境から 思いもよらない試練を受ける事になった。
『世間』という壁だった。
地元で『美人姉妹』と言われ続けてきた私達を 世間がそっとしてくれる訳は無かった。
悪意に満ちている訳ではない。
唯 人間というのは 『興味本位』という 悪魔を心に飼っている。
暫くは親戚が引っ切り無しに訪問し 次はご近所の方々が お見舞いと称して 尋ねてくる毎日が続いた。
『優香ちゃん 退院したんだって。良かったわね~~。今日は 居ないの?』
『下半身麻痺になったりしなかっただけでも 幸せよ。』
『いつか いい人に 巡り会えるから 頑張ってって 伝えてね。』
部屋に居る優香に聴こえるのではないかと ハラハラしながら対応する母と私。
人の不幸は『蜜の味』・・・私は 腹立ち紛れに塩でも巻いてやろうかと思う生意気さがあったが 母は次第に疲れ果てていっていた。



父はそんな私達を見かねて 秘かに住居を探していた。
父の書斎に呼ばれた私は 思いもかけない言葉を聞く事になった。



『美香・・・・パパは 仕事でいつもママや美香達の側で 皆を守ってあげる事が出来ない。
でも 皆が色んな風にさらされて 疲れ切っているのは分かる。
この際 この家を売って 誰も知らない所にいかないか?
まだ ママには 話していないが 美香の意見をパパは聞きたいんだ。
どう思う?』
若気の至りだと言われるかもしれない・・・・けれど 私は この数ヶ月でめっきり白髪の増えた父を真っ直ぐ見つめ 微笑みながら 答えたのだった。



『パパ。私達は この家から お嫁に行くのよ。苦しまないで・・・大丈夫だから!!』




・・・・・今でも この決断を私は後悔していない。

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           『風を感じて』  短編小説 (5) 『誤算』



  
by deracine_anjo | 2004-12-28 04:45 | 『風を感じて』 短編小説
優香は 車中でも 相変わらず無口なまま ぼんやりと外を眺めていた。
ともすると 重くなりそうになる空気を 何とか和らげ様と試みるが 全て空振りに終わり 辛うじて父が対応してくれる事で 何とか救われていたが これからの日々を暗示する様で 私は不覚にも 涙ぐみそうに成っていた。
そんな私を 横目でそっと見つめる父が 堅く握りしめた私の手に 静かに左手を沿え 優しく包み込んでくれた上 小さく頷き 軽くウィンクを 返してくれた。
この寛大な懐に 私達は包まれてきたんだ。
哀しみも苦しさも嘆きも ジッと堪え 私達を守ってきてくれた父の気持ちに 今 私が答えなければならない。
(こんな些細な事で 今から メゲテイテどうするんだ!!
担当医からも言われてじゃないか。
『焦らない事・・・信じる事・・・』)
そっと 父の瞳を見つめ 私も微笑んで頷いた。



車庫に車を停め トランクから車椅子と松葉杖を出し 優香に尋ねてみたが 案の定答えは返ってはこなかったが 自力で車椅子に乗り けれど その瞬間に 顔が曇ったのを見逃さなかった。
私は 努めて明るく
『前にも言ったけど 随分 家の中 リフォームしたから 大丈夫よ。玄関にもスロープも着けてあるし 優香の部屋は 一階にしたから 安心して。』
そんな言葉の一つ一つが 優香の心を傷付けるのでは・・・と一瞬思いが駆け巡ったが これから生活していく上で 腫れ物に触るように接していく事は出来ない。
今まで通りにすればいいんだと 心に誓い 勢い良く玄関を開け
『ママ、ただいま!!優香のお帰りだよ~~~。』
キッチンから 母自慢のケーキの甘い香りが漂ってきていた。
母も待ち焦がれていたんだ。この日を。
でも 何かを考える余裕も無いくらいの瞬時に 黒い塊が 優香目掛けて飛んできた。
優香を一番好きなミクだった。



優香の姿形が変わろうとも 心を閉ざしてしまっていようと ミクにとっては 
誰よりも大好きな優香が数ヶ月ぶりに戻ってきただけの事。
全身を預ける様にして 優香に甘え 熱烈歓迎のキスの嵐。尻尾は千切れんばかり・・・。
その瞬間 優香の手がミクの頭を撫で 微笑んだ様な気がした。
後から戻ってきた父とキッチンから出てきた母は 暫くこの光景を 黙って見つめていた。
母の瞳から 光るものが零れ落ちた。
全ては 今日から 始まったばかり。
けれど 私は 心の中で (大丈夫)・・・だと 繰り返していた。



だが・・・・
人の心が それ程 単純では無い事を 思い知らされる事になるとは 
その時は正直 思いも寄らなかった・・・・。 


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           『風を感じて』 短編小説 (4) 『無垢の愛』
by deracine_anjo | 2004-12-27 08:38 | 『風を感じて』 短編小説
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大学には 父と二人で出向き 留年の手続きを行なった。
異例な事だが 学院長先生とも直接話をする事が出来 理事会との会議
の結果に基づいて 留年期間を2年延長というお話しまで して下さった。
私自身もこの大学を卒業していたのだが 部屋を出る私の肩に手を置き
『優香さんが戻ってこられる事 待っていますから 御家族も 頑張って下さい。』
と 温かい言葉に送られて 父も私も不覚にも 涙が溢れそうになるのを
必死で堪え 深々と頭を下げ 部屋を出るのが精一杯だった。
大学は 眩しいまでの若者で溢れかえっていた。
そう・・・それぞれに明るい未来を夢見る新入生達が 笑いさざめき輝いていた。
ホンの少し前まで 優香もあの中にいたのだ。
一瞬だが 私の心の中に 怒りにも似た感情が湧き出てくるのを感じた。
そんな私の肩に そっと父が手を置き 哀しみ色した瞳の奥で 優しく私を包んでくれていた。



門を出ようとした時に 後ろから男性が小走りに走ってきて 声を掛けてきた。
『遠藤さん・・・』
振り向いた私達の目の前には 優香のボーイフレンド・・・正哉君が立っていた。
彼も全治2ヶ月の怪我をし 退院後は何度も優香の病院にも我が家にも
ご両親と共に来てくれていたが 優香は一度も逢おうとはしなかった。
深々と頭を下げ 真っ直ぐな瞳で私達を見つめ
『その後 優香さんの状態は如何でしょうか?まだ 退院の日取りなどは決まっていらっしゃらないのですか?』
彼自身も身体の傷とは別に 心にも傷を負っていた。
父は静かに微笑みながら
『正哉くんの身体の調子は大丈夫なのかい?いつも 優香を見舞ってくれてありがとう。
なのに 優香が逢う事を拒んでいるそうだが 君に責任がある訳じゃない。
許してやってくれ。
唯 暫くは そっとして遣っておいてやって欲しいんだ。
直ぐに昔の優香に戻る。お陰様で 退院の日は決まったよ。』
父の言葉を一つ残らず聞き逃すまいとでもする様に 瞬きもぜず真っ直ぐ父を見つめ 『退院』という言葉を聞いた瞬間には 一瞬 輝きが戻ってきた様な気がした。
『決まったんですか。良かった!!本当に良かった・・・』
それ以上 言葉にならない正哉くんは 深々と頭を下げ 涙を見られまいとでもするかのように 小走りに去って行った。



退院当日も父と二人で優香を迎えに行った。
母は迎える準備があるからと言っていたが 瞳の奥には 小さな怯えが見てとれた。
父も無理強いをせず 優しく母に
『優香の好きな物を 沢山用意して待っていてくれ。じゃあ 行って来るよ、ママ。』
そう言葉を掛け 家を後にした。
車の中で 気が付くと互いに無口に成りそうになるのを 出来る限り避けるかのように 私は父に話しかけていた。
それは これからの不安に 家族が脅えていたに他ならない。
優香は相変わらず 殆んど感情を見せず 言葉も発していないままだった。
病院では 担当医からの今後の事に付いて説明があった。
『外的な怪我は完治しています。今後 リハビリを続けながら 義足を使用するという形を私は考えています。今の義足は 数段の進歩をしていますから 優香さんの気持ちが落ち着き前向きになった時点で そちらの方向に持って行きます。
唯 今の心の状態では 拒絶反応を起す事もありえますので 時間を掛けていきまょう。
一応 心療内科の紹介状は書いておきましたが 兎に角 焦らず ご家族も優香さんも まず 今まで通りの生活をするという事から始めて下さい。』
『今まで通りですね・・・』
父は言葉を噛み締めるようにそう呟き 私達はお礼を言って部屋を出た。



優香の病室の前で 父と私は見つめ合い ドアをノックしたが 答えは
・・・・いつもの様に無かった。
『優香 迎えに来たよ。』
明るく そう 父が声を掛けながら ドアを開けた瞬間
退院の用意も何もせず いつもの様にベットから起き上がり ボンヤリ窓を
見つめている優香の姿が目に飛び込んできた。



         
           『風を感じて』 短編小説 (3) 『退院』
by deracine_anjo | 2004-12-25 14:37 | 『風を感じて』 短編小説
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 優香が退院してくる迄に 我が家は知り会いの工務店に 家の改装を
 至急頼み 慌ただしい日々が流れていった。
 優香は長野の病院から ある程度安定した時点で私達が通える総合
 病院に転院していた。
 母は 毎日 改装の合間を縫って優香の側に付いていようとしていたが 
 少しづつ 哀しみと疲れに 押しつぶされそうになっていた。
 それは 優香の今回の事故に遭遇した事とは別に 家族の根本を今更
 ながらに 突きつけられた様な気がして 今となっては私にはならない。
 『母親の存在』・・・は 当然の安住の場所として育ち その母が 心を
 失いかけてるなど 考えも及ばない程 甘やかされて育ってきたのだと
 今更ながらに 思う。



 あの日の事故は 完全に相手の過失だった。
 アイスバーン状態の峠を下ってきた相手は 大きく膨らんで優香達の車
 に衝突した。
 それも 彼らは飲酒をいていた状態だった為 スピード感覚も 薄れてい
 たという 心のやり場のない事故だった。
 横転した優香の乗った車は 炎上し 相手の車も 辛うじて途中の崖で
 停まったけれども 同乗者の一人は 亡くなった。
 運転者は これから 法的な罰則を受けるだろう。
 優香のボーイフレンド・・正哉Kんは 全治2ヶ月・・・・肋骨と左手を骨折
 に火傷。
 そして・・・・優香は 左足を失った・・・・言葉と一緒に・・・・。



 身長168cm 綺麗にしまった身体に 人を振り返らせる容貌・・・
 取り立てて美人という訳でもないが 輝くような何かを持った優香が
 あの日以来 片足と『言葉』を失い 冷たいセルロイドの人形の様に
 微笑を忘れてしまった。
 担当の先生の話では 片足を失ったショックから一時的な『失語症』
 になったという説明だった。
 幾箇所かの火傷は 今後 『成形美容』という形で ホロー出来るが
 心のケアは 『心療内科』の門を尋ねるしかないと・・・到って事務的に
 突き放された。



 私は優香が退院してくる前に 会社に退職届けを提出した。
 『結婚退職?』・・・・等と はやし立てられたりしたが 所詮 いち事務員
 の私が 退職したところで 何が変わる訳でもない。
 代わりはいくらでもいる。
 けれど・・・・今の私の家族にとって 少なくとも私は 必要な筈。
 退職の事は 父に相談した。
 父は涙ぐみ 『頼むな・・・』・・・そう言って 私を抱きしめてくれた。
 それだけで 私が選んだ道は 間違いない・・・・と 思えた。 



 急遽作った 『バリアフリー』の家に 優香が戻る日が決まった。
 何回かに分けての 火傷の手術は順調に成功し 後は 時間が経てば 
 殆んど分からない状態に成るだろうと ドクターも太鼓判を押してくれたが 
 相変わらず 笑わない人形は・・・・・変わらなかった。



 そして・・・・・もう1人 壊れ始めた人形・・・・・
 『母』は 少しづつ 優香の病院に行く事を 拒み始めていた。
 責めるつもりなどない。
 煌くような娘を 誇らしく思っていた母が 心を閉ざした娘に対して
 戸惑い 迷い 嘆く余りに・・・・心を少しづつ 失い始めていた事に
 家族がもっと 早くに気が付いてあげさえすれば・・・・
 と 思うばかりである。



 全ては 始まったばかり・・・・



     微笑む事を忘れた天使達・・・・に    幸あれ。




          『風を感じて』  短編小説 (2) 『微笑を忘れた天使』
 
 
 
by deracine_anjo | 2004-12-23 00:13 | 『風を感じて』 短編小説

 優香は 姉の私から見ても輝くばかりの青春を謳歌していた。
 某有名私立大学の『ミス・キャンパス』に 入学当初から3年連続で
 選ばれてはいたが それを特に鼻にかける訳でもなく 当然の如く
 芸能界からも声が掛かっていたが 当の本人には まったくその気
 がない事で 両親も妙に安心していた。
 学業とサークル活動・・・そして 入学当初から付き合っているボーイ
 フレンドとの交際も両家公認の微笑ましい付き合いだった。
 来年は本格的に将来を考え就職活動か前から希望していた留学か
 決めなければならない 最後の楽しい冬・・・・
 サークル仲間恒例のスキーに出掛ける朝も 早出する優香を母が
 いつもの様に見送り その後 父と私の朝食の準備に掛かりながら
 母の趣味である『俳句の会』で披露する俳句の事などを考えながら
 普段と何一つ変わらぬ朝が過ぎていった。



 晴れ渡った空の下 鼻歌交じりに洗濯物を干していた母の耳に
 電話のベルが 届いた。
 小走りに庭からリビングに駆け上がり受話器を取った瞬間・・・・・
 全ての時間が停止してしまった様な気がしたと 後日 母は泣きながら
 何度も何度も繰り返していた。
 相手は丁重に名前を名乗り 用件を告げたが 動揺した母には何の事だ
 か 何が起こったのか・・・・一瞬理解する事が出来なかったとも言ってい
 た。
 『私は長野県警の工藤ともうします。失礼ですが 斉藤優香さんのお宅
 でしょうか。誠に申し上げ難い事なのですが 事故にあわれまして 今
 ○○総合病院に搬送され手術を受けられております。
 生命に危険はありませんが・・・・・』



 辛うじて母は父と私に連絡を居れ 私達はそれぞれに早退届と休暇届を
 出し 急いで帰宅した。
 父より先に帰宅した私の目に飛び込んできたのは リビングの床に
 座り込んだまま 受話器を握りしめ泣き崩れている母の姿だった。
 『ママ・・・ソファーに座って。暖かいお茶でも持ってくるから・・・・』
 今にも崩れそうな母の身体をそっと抱きしめながら (私が しっかりしな
 ければ!) 唇を噛み締め 何度も心の中 呟いていた。
 玄関が開いた音がして 父が戻ってきた。
 母と私を見つめ 苦渋に満ちた瞳の中に 本当にとんでもない事が起こっ
 てしまったんだと・・・読んで取れた。
 それでも父は 気丈に
 『これから 病院に行くから美香は優香の当面の入院に必要なモノを
 用意してくれ。
 ママ・・・大丈夫だから。状況は 車の中で 詳しく話すから ママも頑張
 ってくれ。』



 踵を返して車の準備をしにいく父の背中が泣いているように見えた。
 2階の優香の部屋に入るとほんのりと甘い香りが鼻腔をくすぐり バック
 に 当座必要と思われる物を詰め込みながら いつしか私は声を殺して
 泣いていた。
 まだ 父から正確な状況を聞かされてはいないけれど 胸騒ぎに心が
 締め付けられるようだった。
 昨日まで あんなに楽しげにスキーの話をしていた優香の身に 一体何
 が 起こったというのだろうか・・・・。
 命には別状ないと言われたと母が言っていたが・・・・。
 それでも 怖かった。
 


 何かこれからの優香の人生に大きな壁が立ち塞がってくるような・・・・
 漠然とした恐怖にも似た不安が 私の心を脅えさせた。
 何も無く 唯の怪我であって欲しい・・・祈りは



 無残に 打ち砕かれた・・・・・。


          


          『風を感じて』  短編小説 第一章 『岐路』

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by deracine_anjo | 2004-12-22 10:23 | 『風を感じて』 短編小説